モロッコ2


地獄のサハラツアー1日目

地獄とは言ったものの閻魔さまどうこうじゃないよ。

精神的につらい地獄ね。

 

朝7時にツアーの集合場所へ。

そこには日本人がちらほら。やったぜ!

観光っぽい女の子もいてやったぜ!

 

ジープが何台かやってくる。

皆、ジープに乗り込んで行くんやが

俺だけガイドっぽいやつに違うジープに乗っけられる。

 

周りのメンツを見渡すと外人ばっか。

さっき周りにいた日本人とは離ればなれ。

同じでもツアーを頼んだ旅行会社が違うっぽい。

 

つまり言葉の通じる日本人女の子との甘酸っぱい

サハラツアーの煩悩は砕けちったのである。

なんてこった。

 

ジープは色んな撮影スポットに止まっては撮影タイムと

称して15分くらいの自由時間を与えてくる。苦痛。

 

友達がおらへんのに修学旅行行くようなもんやで。

 

ツアーは安いけどこのダメージが伴うとは…もろはのつるぎや。

 

仲良くすればええやんと思ったけども

メンバーはアンゴラ人、ベルギー人、ブラジル人、フランス人、イタリア人という

英語で会話をしない皆様。バラエティ豊すぎるわ。

 

飛び交う言葉はスペイン語とイタリア語とフランス語(たぶん)

話しかけられてもなんのこっちゃとなる。

 

そうなると一人でぶらつくことになるんやけど

それは慣れっこやから問題ない。

ツアー参加前も最悪一人で楽しむかと考えてた。

 

しかし!アンゴラ人(アフリカ大陸の下らへんの国)が陽気っ!

おれが一人で動いてると輪に入れよって言うてくる。いいやつ。

 

しかしあれこれ質問されても答えれんから苦笑い。

苦笑いはあんまり良い印象を与えやんっぽい!

おれのせいで会話の流れが止まる。

 

そうなるとご飯タイムも辛い。

食卓を囲んで喰うんやけど、まー黙々と食べるしかない。

話題がおれに振られやんことを祈りながら喰う。

話題が飛んで来て、答えられずに雰囲気を壊すのが辛い。

 

何この暗い日記。

 

夜のホテルではツアー参加の全ジープが一つのホテルに

泊まる仕組みで日本人と合流。はしゃぐ。

 

JALのパイロットとJRの車掌さんとお知り合いに。

 

パイロットさんは中南米でUFO見たらしい。

JRの車掌さんはネットで知り合った人と海外旅行行くらしい。

 

はっ人間関係の話ばっかしてまったけど

何気に初日はモロッコの世界遺産を2つ見た。

 

ただ名前覚えてへんのなー!

小高い山にある遺跡とすごい渓谷を見た。

まぁそんなとこや。

 

すごい渓谷はすごいけど、小高い山にある遺跡は名ばかりや。

なんでこんなとこ寄るねんと思ってたくらいや。

 

深いダメージを負った水谷くん、2日目もたいへんやー!笑

 

 

 

水谷星空に感動す

朝7時に起床。

昨夜はJALのパイロットさんと二人部屋。

 

真夜中、すやすや寝てたら急にパイロットさんに

73年と76年は何してたの?

と聞かれて目覚める。

 

ははん寝言やなって無視してたら

なぜ答えないっ!って怒られた。

咄嗟にごめんなさいって謝ってもうたがな。

水谷情けなし。ツアーでメンタルやられてるやん。

 

この日もなぁ…

 

メンバー同士がものすごい速度で仲良くなって行く。

取り残されるぼく。

 

取り残されるのはいい。

やっぱりアンゴラ人がよう、輪に入れって言うてくんの。はぁ

良い奴なんやがなー!

 

昼ご飯の時なんか、食べ終わった後に皆で談笑が始まるんやけど

キツすぎて何の興味もない土産を延々と一人で見てた。

 

めちゃ暗れーサハラ日記。

 

夕方にメルズーカっていう町に到着。

ラクダでサハラ砂漠の中にある集落へ向かう。

 

最初はテンション上がるが、お尻が痛くなってくる!

おめーさ乗り心地悪いべ。5分で満足だべ。

何より砂山を下るときの、ラクダさんの前足ガックン具合が怖い。

 

集落について皆で砂丘に登って夕日を見に行く。

砂丘気持ち良い&美しい。

 

夕日に照るとまた美しい。こりゃええわ。

一人で砂丘から砂丘へと何度もダッシュを繰り返した。

心がやられてると、こういうことになりますわ。

 

でも2日間も一緒におると言葉は通じずとも仲良くなってくる。

夜ご飯を食べた後、集落の人と踊りを踊る。

 

シャイ水谷はダンスを拒むがええぃどうにでもなれってんで踊る。

そうしてくと少しずつ仲良くなっていく。

 

アンゴラ人にベビーフェイスっていじられたり

(仕返しにお前のことは心ん中でモジャモジャって呼んだった!)

 

ベルギー人には常に親切にしてもらったり

(彼がおらんかったらツアー途中下車、感謝)

 

パワフルぽっちゃりボディのブラジルガールの馬鹿笑いに助けられたり

(お前さんソフトボールで例えるなら4番打者やで)

 

言葉通じやんくても、媚びへつらわんくても何とかなるもんや。

 

談笑後にテントを出ておらびっくらこいただ!

星がすげー。

キラキラキラキラって視界に400個くらい星が。

隙間がほとんど無く星がキラキラキラッって。

 

こんな星ってあるんやなー。ありすぎてちょっと怖い。

でもこんなん毎日見たら元気出るわなー。

アンナプルナの夜空より星ある!

 

テントに眠りに戻ろうとしたら、集落のおっさんがお前は外で寝ろって言うてきて

え、いじわる?と思ったけど星空を見ながら寝るのが良いそうで。

 

その案に乗っかって砂漠の上に絨毯敷いただけのとこで就寝。

…おいおい砂ホコリで体と耳ん中じゃりじゃりやんけ。

と文句言おうと隣り見たらおっさん15秒くらいでもう寝てる。

 

おっさん、夜空に星はあるけど、こういうの野宿って言うんやで。

 

彼女は何者

日の出と共に起床。

というか集落の人に叩き起こされる。むかっ

 

ツアー三日目はマラケシに帰るだけ。

でもぼくはフェズって町に行きたかったので

メルズーカの町でジープを降りてバスに乗り換える。

 

いやーやっと解放!

孤独と惨めさという苦渋をなめたツアーではあったが

お別れする時にはメンバーに愛着湧いちゃったべ。

二度とツアーは組まんけどな。

 

バスでフェズまで11時間。

ローカル線やから狭く暑い。

 

大きな町に着く度に、乗客がごっそりと入れ替わる。

その隙におやつやコーラを買ってやり過ごす。

窓からの眺めは、この旅3本の指に入るくらいのおもしろさ。

 

草原に動物がおったり、崖の急カーブで走馬灯を見たり

荒野ありの森ありの、ぽんぽん風景変わるで一睡も出来なんだ!

いや違うな、車内がぎゅうぎゅう詰めで眠れやんかった気がする。

 

くったくたで夜10時にフェズへ。

バスターミナルで、見た目は30才くらいの幼い顔立ちの女性にからまれた。

 

笑いながら一人でバスターミナルで踊り散らかしてたから

要注意人物やと思って避けてたけど、バックパック背負ってたから

見つかってもうた。

 

なんか言うてくるが何言うてるかわからん。

客引きか?纏った雰囲気と存在が怖くて逃げた。

 

バスターミナルから200メートルくらい離れて

宿探してたら背後に気配を感じて振り向いたら彼女がおって

またなんか言うてくる。

 

気配消せんの?見れば見るほどに年齢不詳で

浮き世離れした雰囲気+生気のない顔で踊ってるからまじ怖い。

死神に思えてきて、けっこう本気で走って逃げた。

 

水谷ダッシュとツアー&すし詰めバスでボロボロ。

近場の800円の宿に決めて、猫とおしゃべりしてお寝んね。

猫に一方的に話しかけた。どうした水谷。。

 

この日で出発から120日目。

けっこう疲れてますぜ。

 

 

モロッコの散髪屋に挑むの巻

3日間、フェズを散策する。

 

フェズは細い路地がいっぱいあって

迷子になりやすい町。

 

歩いてて楽しいもんで、サンダルでぺたぺたと

歩き回ってたら階段でこける。

 

5段くらい転げ落ちてまさかの大ダメージ。

お尻に大あざと右肩が外れた。

 

立ち上がれず近くにいたおっさんに助けてもらうが

肩が痛いと言うと、おっさん何を思ったのか

おれの肩を外側に引っぱり始める、ばかたれぃい!

 

おっさんの手を振り払って階段にうずくまって自己治癒。

肩が外れるのは慣れっこやから大丈夫やけど

一回外れると、しばらく外れやすくなるでいやや。

昔は電車のつり革に捕まってて外れたこともある。

 

ダメージを残しつつ、伸びきった髪の毛を切りに行く。

 

当然、フェズに日本みたいなおしゃれな散髪屋などは無い。

言葉も通じへん。どんな髪型にされるんや。

しかも町の若者のヘアスタイルはダサイ角刈り一辺倒やないか…

これは戦いである。

異国での散髪は勇気がいるのだ!

 

その時の心境を記した文章を当時の日記から抜粋する。

 

”恐ろしい。逃げ出したいくらいや。しかし刈るしかない。

 モロッコの散髪屋に果敢に挑むんや。

 散髪屋のおやじに身も心も捧げた。ええい、どうにでもなれっ!

 

やけくそですな。

散髪屋でアップツゥーユー(おまかせ)とだけ伝えて

おれの髪型が角刈りになっていく様を、我が眼に刻んでやろうと

思ってたらメガネ外されて、何も見えん。

 

散髪が終わり、震える手でメガネをかける。

 

鏡の前には見事な角刈り&モミアゲが平行にカッティングされ

今にも泣き出しそうな水谷くんがいた。

 

平行にカッティングされたモミアゲの先には地平線が見える。

…あっこの一文いらへんわ。

 

階段から転げおちたダメージ&角刈りという

ビジュアル面でも大ダメージを負った水谷くん。

 

手負いの水谷は、当ても無くフェズの町をさまよう。

その姿はまさに挫折者…!

 

しかしそんな時に素敵な出会いがあるもんで

宿の近くに揚げパン屋が!

 

揚げたてのドーナツに、目の前で砂糖が振りかけられていく…

しかも1個15円!

 

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ。

 

うまパン。こんなうまいパンあるんや。

めちゃシンプルやのに。

 

うまパンによって蘇ったわたくし

モロッコの北の町、タンジェに電車で向かいます。

 

 

お楽しみジブラルタル海峡(モロッコ編最終回)

昼の12時発のタンジェ行きの電車に乗車。

 

4時間でタンジェに到着。

駅のインフォメーションでメディナ地区(宿の多いとこ)を

聞いて宿探し。

 

牢獄のような300円の宿があった。

光が全く当たらない、恐ろしいホテルもあったもんや。

 

1泊500円の綺麗な宿に決めて2日間タンジェを

楽しもうとしたけど、退屈な町でした。

 

タンジェはリゾート地で皆は海で遊んでる。

やることないので海を見たり広場でぼーっとしたり。

 

リゾート地はやっぱイマイチやなぁ…

 

スペインに行く為のフェリーのチケットを購入。

 

港で出国審査をしてロビーでのんびりしてたら

港のスタッフに話しかけられる。

何言うてるかわからん。

 

7回くらい聞き返して、ロビーから

船までは送迎ワゴンで行くんやでって言うてるのが

やんわり伝わってきた。

 

終始、笑顔で教えてくれたスタッフの兄ちゃん。

こやつくせ者。

 

ワゴンに乗り込むとスタッフの兄ちゃんが

ドライバーに何か話し込んでいる。

ドライバーは渋々うなずいている模様。

 

出発寸前にスタッフがこう言う。

「この送迎は有料や。500DH(500円)払わなあかん。

 ええか、これは港の決まりなんや」

的なことを言うてくる。

 

もちろん何言うてるかわからんから、5回くらい聞き返す。

しかしまぁ、ワゴンで船まで3分くらいの距離で

500円なんか払ってられるかいな。ばかたれめ。

 

ええか、絶対払えよっ!と言い残しスタッフ退散。

ワゴンは出発して、船場へ。

 

寡黙なドライバーに20円のチップを払って500円払わず。

ドライバーも払うことは無いぞって目で訴えかけてきて解決。

 

たぶんスタッフはおれに500円払わせて

このドライバーから何割かをぶんだくる気やったんやろなー。

あいつ腹立つわぁ…風邪ひけ。

 

そして寡黙なドライバーに感謝。

ユーアーナイスガイ。

 

なかなかに厳重なパスポート審査をくぐり抜けて

(くぐり抜けてって言うと悪者みたいやん、真の悪者はスタッフやで)

無事、船に乗り込む。

 

そしてがっかり!!

 

なーにがジブラルタル海峡や。

海しか広がってへん。海ってそういうもんやけど。

 

アフリカ大陸からヨーロッパへの景色の変化ぶりが

どうのこうのって聞いてたから期待してたんに!

わざわざ飛行機使わずにきたのに!!

 

皆様、ジブラルタル海峡と港のスタッフにはご注意あれ…!